建設・職人系18職種の年収と就業者数を公的データで比較

「職人の年収」を調べると、根拠のはっきりしない数字が並びがちです。このページでは、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(job tag)に掲載されている公的統計だけを使い、建設・職人系18職種の年収・就業者数・労働時間・平均年齢を一覧にしました。

数値はすべて2026年7月26日に job tag の各職業詳細ページから取得したものです。当サイトが独自に推計・加工した数字は含みません。

ただし、この統計にはそのまま鵜呑みにすると誤解する落とし穴があります。先に一覧を見てから、後半の「この統計を読むときの3つの注意」まで必ず目を通してください。

18職種の一覧(年収の高い順)

賃金・労働時間・年齢は令和7年賃金構造基本統計調査、就業者数は令和2年国勢調査を、job tag が加工して公表しているものです。

建設・職人系18職種の公的統計(2026年7月26日時点)
職種賃金(年収)就業者数労働時間(月)平均年齢時給換算
建築施工管理技術者679.1万円242,580人166時間43.4歳3,092円
電気工事士628.1万円379,510人163時間41.6歳2,908円
土木施工管理技術者625.0万円263,870人162時間46.0歳2,993円
配管工523.1万円220,720人165時間42.9歳2,477円
鉄骨工506.6万円53,660人169時間43.5歳2,258円
建築塗装工497.7万円232,980人165時間41.6歳2,317円
大工485.5万円297,900人174時間50.2歳2,175円
左官466.9万円59,890人168時間41.6歳2,161円
内装工466.9万円647,530人168時間41.6歳2,161円
防水工466.9万円647,530人168時間41.6歳2,161円
サッシ取付466.9万円647,530人168時間41.6歳2,161円
建築板金454.2万円73,170人168時間43.0歳2,091円
ビル施設管理452.3万円157,500人163時間47.3歳2,117円
建設・土木作業員435.2万円456,900人164時間46.7歳2,109円
とび414.5万円111,940人166時間41.9歳1,985円
解体工414.5万円111,940人166時間41.9歳1,985円
型枠大工414.5万円40,840人166時間41.9歳1,985円
鉄筋工414.5万円28,990人166時間41.9歳1,985円

時給換算は「一般労働者の残業代・賞与を含む1時間当たり賃金」です。短時間労働者の値は別集計のため含みません。

この統計を読むときの3つの注意

ここが一番大事な部分です。上の表をそのまま「職種別の年収ランキング」として扱うと、事実と違う理解になります。

注意1: 同じ数値が並ぶ職種は、統計上まとめられている

表をよく見ると、まったく同じ数字の職種がいくつもあります。job tag 自身が「統計データは、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」と注記しているとおり、賃金統計はより大きな職業分類の単位で集計されているためです。

つまり「鉄筋工の平均年収は414.5万円」ではなく、「鉄筋工を含む職業分類全体の平均が414.5万円」が正確な読み方です。同じグループ内の職種同士を、この数字で比較することはできません。

注意2: 就業者数と賃金は、集計の粒度が違う

就業者数は令和2年国勢調査、賃金は令和7年賃金構造基本統計調査と、出典も年次も異なります。粒度も違います。

わかりやすい例が左官です。就業者数は59,890人と職種単位で出ていますが、賃金の466.9万円は647,530人を含む広い分類の値です。同じ行の数字でも、母集団が同じとは限りません。

注意3: 平均値なので、経験年数と会社規模の差が消えている

ここに出ている年収は、見習いからベテランまで、小規模事業者から大手まで全部を平均した値です。未経験で入った1年目がこの金額をもらえるという意味ではありません。

job tag には経験年数別・年齢別の賃金グラフも用意されているので、実際に応募を検討する段階では各職業詳細ページでそちらも確認することをおすすめします。

数字から読み取れること

施工管理と電気工事士が上位に来る

上位3職種は建築施工管理技術者(679.1万円)、電気工事士(628.1万円)、土木施工管理技術者(625.0万円)です。いずれも国家資格と結びつきが強い職種という共通点があります。

施工管理には施工管理技士、電気工事には電気工事士の資格が必要で、資格が業務範囲そのものを決めます。資格取得の負担がある代わりに、待遇に反映されやすい構造だと読めます。

逆に言えば、資格要件が緩い職種ほど平均賃金は低めに出ています。「資格の勉強がしんどい」と「賃金が高い」はセットになりやすい、ということです。

労働時間が最も長いのは大工の174時間

月間労働時間は162時間(土木施工管理技術者)から174時間(大工)まで、12時間の幅があります。大工は年収485.5万円に対して労働時間が最長で、時給換算では2,175円と中位に下がります。

年収だけを見ると実態を見誤る典型例です。表に時給換算を併記したのはこのためで、たとえば電気工事士は年収2位ですが時給換算では2,908円、施工管理の3,092円に次ぐ水準です。

大工の平均年齢50.2歳は突出している

平均年齢は41.6歳〜50.2歳に分布していますが、大工の50.2歳は2位のビル施設管理(47.3歳)を約3歳上回り、最も若い41.6歳グループ(電気工事士・左官・内装工・防水工・建築塗装工)とは8.6歳の差があります。

大工は就業者数297,900人と規模が大きい一方で高齢化が進んでいる職種と読め、未経験者の受け入れ需要という観点では見逃せない数字です。

就業者数が少ない職種は求人も限られる

就業者数が最も少ないのは鉄筋工の28,990人、次いで型枠大工の40,840人、鉄骨工の53,660人です。電気工事士(379,510人)と比べると10分の1以下の規模になります。

母数が小さい職種は、その分だけ未経験求人の数も地域による偏りも大きくなりやすいという点は、職種を選ぶときに意識しておく価値があります。

資格データ: 電気工事士試験の合格率

資格が待遇に効きやすい職種の代表として、電気工事士試験の実績も一次情報から確認しておきます。出典は一般財団法人 電気技術者試験センターです。

第二種電気工事士

第二種電気工事士試験の受験者数と合格率
年度学科 受験者学科 合格率技能 受験者技能 合格率
令和7年度139,087人56.6%99,610人71.8%
令和6年度132,462人58.2%94,238人70.3%
令和5年度134,025人59.4%95,337人71.1%
令和4年度145,088人56.0%97,659人72.6%

第一種電気工事士

第一種電気工事士試験の受験者数と合格率
年度学科 受験者学科 合格率技能 受験者技能 合格率
令和7年度36,154人57.4%28,403人58.1%
令和6年度35,320人56.7%28,372人59.9%
令和5年度33,035人61.6%26,143人60.6%
令和4年度37,247人58.2%26,578人62.7%

合格率は「受験者数に対する合格者数の割合」として算出しています(申込者数ベースではありません)。学科・技能とも上期と下期の合計値です。

読み取れるのは、第二種は技能試験のほうが通りやすく(70.3〜72.6%)、第一種は学科56.7〜61.6%・技能58.1〜62.7%とほぼ同水準という違いです。第二種で「技能試験が本番」と身構えすぎる必要はなく、むしろ学科で4割以上が落ちている点に注意が向きます。

また第二種の受験者数は年間13万人以上で、第一種の約3.5〜4倍の規模です。未経験者の入口として第二種が広く使われていることが数字にも表れています。

参考にした公的情報

このページの数値は、以下の公式サイトから2026年7月26日に取得したものです。統計は更新されるため、応募や受験を具体的に進める前に最新の数値を各サイトでご確認ください。

よくある質問

この年収は未経験1年目でももらえますか?

もらえません。掲載している年収は、見習いからベテランまで、また小規模事業者から大手までを平均した値です。経験年数別の賃金は job tag の各職業詳細ページにグラフが用意されているので、そちらを確認してください。

とび・解体工・型枠大工・鉄筋工の年収が全部同じなのはなぜですか?

賃金統計がこの4職種を含む同一の職業分類でまとめて集計されているためです。「それぞれの職種の平均が偶然一致した」のではなく、元の統計が職種単位で分かれていません。したがって、この数字でこの4職種を比較することはできません。

年収が高い職種を選べば得ですか?

年収だけで選ぶのはおすすめしません。上位の施工管理や電気工事士は国家資格と結びつきが強く、働きながら資格を取る負担が伴います。また大工のように、年収は中位でも労働時間が月174時間と長く、時給換算では順位が下がる職種もあります。年収・労働時間・資格の負担・向き不向きをセットで見てください。

第二種電気工事士の合格率はどのくらいですか?

電気技術者試験センターの公表値から受験者数ベースで算出すると、令和7年度は学科56.6%、技能71.8%です。過去4年間では学科が56.0〜59.4%、技能が70.3〜72.6%で推移しています。

職種選びは数字だけでは決まらない

ここまで公的データを整理してきましたが、実際に続けられるかどうかは、高所が平気か、細かい作業が好きか、段取りを考えるのが得意か、といった適性の影響が大きい部分です。

年収や就業者数は「候補を絞る材料」として使い、最後は自分の向き不向きと照らし合わせて決めることをおすすめします。

関連記事