防水工の仕事内容と年収|4工法の違い・きつい場面・未経験の始め方
防水工は、屋上、ベランダ、外壁、浴室まわりなどに防水層を作り、建物に水が入らないようにする仕事です。完成すると見えなくなる部分を担当しますが、不具合が出れば雨漏りに直結するため、建物の寿命を左右する職種です。
この記事では、1日の作業の流れ、4つの工法による仕事内容の違い、公的統計で見た年収、きつい場面、未経験から始める場合の求人の選び方を整理します。
防水工の仕事内容
防水工の仕事は、現場の状態確認から始まります。屋上、ベランダ、外壁、浴室まわりなど、施工場所によって材料も手順も変わるため、まず下地の傷み、汚れ、水分、ひび割れ、天候を確認します。
午前は清掃、下地処理、プライマー塗布、材料や道具の準備を行うことが多いです。未経験者は、材料運び、養生、清掃、道具の手入れから覚え、慣れてくると簡単な塗布やシート貼りの補助に入ります。
午後は防水材の塗布、シートや塩ビシートの施工、端部や立ち上がり部分の確認、乾燥後の仕上がりチェックを進めます。防水は施工後すぐに不具合が見えないこともあるため、見えにくい部分ほど丁寧に確認する必要があります。
施工そのもの以上に、下地処理と乾燥時間の管理が品質を決めるのがこの仕事の特徴です。塗る・貼るという作業だけを見ると単純に見えますが、規定の膜厚を出す、端部を納める、水が回りやすい箇所を潰すといった判断が常に入ります。
防水工の4つの工法と、仕事内容の違い
「防水工」と一言でいっても、扱う工法によって作業の中身も体への負担もかなり変わります。求人を見る前に、この4つの違いを押さえておくと会社選びを間違えにくくなります。
ウレタン防水
液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作る工法です。刷毛やローラー、ゴムベラを使い、複雑な形状にも継ぎ目なく施工できます。ベランダや屋上の改修で最も多く使われます。
塗る作業が中心なので、ムラなく均一に仕上げる感覚が求められます。塗装の経験がある人は入りやすい工法です。一方で、規定の膜厚を出すために塗り重ねの回数と乾燥時間を守る必要があり、急ぎたい人には向きません。
シート防水(塩ビ・ゴム)
あらかじめ成形されたシートを貼る、または機械で固定する工法です。広い屋上を効率よく施工できます。
シートの割り付けを考え、端部や立ち上がり、排水口まわりを納める段取りが仕事の質を決めます。広い面を計画的に進めるのが得意な人に向きます。ウレタンより「塗る」要素が少なく、寸法と納まりを考える比重が高い工法です。
FRP防水
ガラス繊維と樹脂で硬い防水層を作る工法です。硬化が速く、ベランダや浴室など比較的小さい面積で使われます。
硬化までの時間が短いため、段取りを崩さず手早く進める必要があります。においが強く、換気の悪い場所での作業もあるため、においへの耐性は事前に確認しておいたほうがよい工法です。
アスファルト防水
アスファルトを使う伝統的な工法で、耐久性が高く大規模な建物の屋上に使われます。熱を使う工法では高温のアスファルトを扱うため、安全管理の比重が最も大きくなります。
重量物の運搬もあり、4工法のなかで体力的な負担は大きめです。その分、大規模物件を扱う会社で経験を積みたい人には向きます。
未経験で入る場合、最初はウレタンかシートから覚える会社が多いです。求人票に工法が書いていない場合は、面接で必ず確認してください。
防水工の年収を公的データで見る
防水工の年収は、読み方に注意が必要な数字です。まず数値を示し、そのあとで前提を説明します。
| 職種 | 賃金(年収) | 就業者数 | 労働時間(月) | 平均年齢 | 時給換算 |
|---|---|---|---|---|---|
| 防水工 | 466.9万円 | 647,530人 | 168時間 | 41.6歳 | 2,161円 |
出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)。就業者数は令和2年国勢調査、賃金・労働時間・平均年齢は令和7年賃金構造基本統計調査を job tag が加工したもので、2026年7月26日に取得しました。
この466.9万円は防水工単独の数字ではない
防水工は job tag 上で独立した職業として掲載されていますが、就業者数も賃金も、左官・内装工・サッシ取付と同じ647,530人の分類で集計されています。つまり公的統計から防水工単独の規模や賃金を知ることはできません。
ネット上で見かける「防水工の平均年収」は、多くがこの分類全体の値を指しています。数字を見るときは、それが何を集計した値なのかを必ず確認してください。
他の建設職種との比較
| 職種 | 賃金(年収) | 労働時間(月) | 時給換算 |
|---|---|---|---|
| 建築施工管理技術者 | 679.1万円 | 166時間 | 3,092円 |
| 電気工事士 | 628.1万円 | 163時間 | 2,908円 |
| 配管工 | 523.1万円 | 165時間 | 2,477円 |
| 建築塗装工 | 497.7万円 | 165時間 | 2,317円 |
| 大工 | 485.5万円 | 174時間 | 2,175円 |
| 防水工(左官・内装工・サッシ取付と同分類) | 466.9万円 | 168時間 | 2,161円 |
| とび・型枠大工・鉄筋工・解体工 | 414.5万円 | 166時間 | 1,985円 |
同じ賃金額の職種は、job tag 上で同一の職業分類にまとめられているためまとめて表示しています。
労働時間168時間は建設系のなかでは長めで、屋上や外壁での作業が天候に左右されやすい実態と整合します。平均年齢41.6歳という数字は、未経験から入れる環境が一定程度あることの傍証になります。
なお、この466.9万円は見習いからベテランまでを平均した値です。未経験1年目がこの水準になるわけではありません。初年度の条件は応募先の求人票で確認してください。
18職種すべてを並べて比べたい人は、18職種の年収・就業者数を公的データで比較もあわせてご覧ください。
防水工のやりがい
防水工のやりがいは、建物を雨漏りや劣化から守ることです。派手に見えにくい仕事ですが、住まいや建物の寿命に直結する重要な役割です。雨漏りで困っていた現場が改善したときには、仕事の価値を感じやすい職種です。
また、工法ごとに覚えることが明確に分かれているため、できる工法が増えるほど任される現場が広がるという形で成長が見えやすい仕事でもあります。
防水工のきつい場面
一方で、続かない人が挙げる理由もはっきりしています。
- 屋外作業の暑さ・寒さ — 屋上は夏場の照り返しが強く、冬は風をさえぎるものがありません
- 材料のにおい — 特にFRP防水は樹脂のにおいが強く、換気の悪い場所での作業もあります
- 下地処理の地道さ — 作業時間の多くが清掃と下地処理で、「防水材を塗る」時間はその一部です
- 天候による工程変更 — 雨が降れば施工できず、予定が組み替わります
- 成果が見えない — 完成すると防水層は隠れるため、仕上がりの見た目で評価されたい人には物足りなく感じられます
塗装と似て見える作業もありますが、防水は特に「水を通さない納まり」を守る意識が重要になります。ここを面倒と感じるかどうかが分かれ目です。
防水工に向いてる人・向いてない人
向いてる人
- 下地処理を丁寧にできる(汚れ、ひび、段差、水分の確認を省かない)
- 塗りムラ、厚み、つなぎ目、端部など細部の差を見られる
- 屋外作業や天候による予定変更にある程度対応できる
- ウレタン、シート、FRPなど材料ごとの特徴を覚えるのが苦ではない
- 完成後に見えなくなる場所でも手を抜かない
向いてない人
- 「だいたいでいい」で進めたい(小さな処理不足が後の雨漏りになります)
- においや材料の扱いに強い抵抗がある
- 毎日同じリズムで働きたい(天候で予定が変わります)
- 仕上がりの見た目で評価されたい
未経験から防水工になるには
未経験から始めるなら、まずは下地処理、養生、材料運び、清掃などの基本作業から覚えることが多いです。求人を見るときは、次の点を確認しましょう。
- どの防水工法を扱っているか(作業内容と体への負担が変わります)
- 住宅中心か、マンション・ビル中心か
- 改修工事が多いか、新築が多いか
- 未経験者への教育があるか
- 資格取得支援や技能講習の補助があるか
- 雨天時の仕事内容と給与の扱い
面接では「最初に覚える工法は何ですか」「雨の日はどんな仕事になりますか」「資格取得支援はありますか」と聞くと、働き方を具体的にイメージしやすくなります。
ステップアップの道筋
最初は一つの工法から始め、経験を積みながら対応できる現場を広げていく人が多いです。将来的には、防水施工技能士などの資格取得を目指したり、塗装や外壁補修と組み合わせて仕事の幅を広げたりできます。小規模な改修工事にも需要があるため、独立や一人親方を考える人にも候補になりやすい職種です。
防水工と迷いやすい職種
塗装職人
塗る作業や仕上がりへの意識が好きなら、塗装職人も近い選択肢です。賃金は497.7万円で防水工の分類より高く、屋外作業が中心という点は共通します。詳しくは塗装工の仕事内容と年収を参照してください。
左官職人
下地を整えたり、手作業で仕上げたりすることが好きな人は左官も合う可能性があります。job tag 上は防水工と同じ分類で集計されています。左官の仕事内容と年収で解説しています。
内装・クロス
屋外より室内の仕上げに関わりたい人は、内装・クロス職人も検討できます。
よくある質問
防水工の仕事はどんな内容ですか?
屋上、ベランダ、外壁、浴室まわりなどに防水層を作り、建物に水が入らないようにする仕事です。下地の傷みや水分の確認から始まり、清掃、下地処理、プライマー塗布、防水材の施工、端部や立ち上がりの納まり確認まで行います。作業時間の多くは下地処理で、見えにくい部分ほど丁寧さが求められる職種です。
防水工の年収はいくらですか?
厚生労働省 job tag の賃金は466.9万円です。ただしこれは左官・内装工・サッシ取付を含む同一の職業分類でまとめて集計された値で、防水工単独の平均ではありません。また見習いからベテランまでを含む平均のため、未経験1年目の額ではありません。
防水工のきつい場面はどこですか?
屋外作業の暑さ寒さ、材料のにおい(特にFRP防水)、下地処理の地道さ、天候による工程変更が挙げられます。また完成すると防水層は見えなくなるため、仕上がりの見た目で評価されたい人には物足りなく感じられることがあります。
防水工の工法はどれから覚えますか?
未経験の場合、ウレタン防水かシート防水から覚える会社が多いです。ウレタンは塗り重ねる作業が中心で塗装経験者が入りやすく、シートは広い面の割り付けと納まりを考える比重が高くなります。FRPは硬化が速く段取りの速さ、アスファルトは体力と安全管理の比重が大きい工法です。
防水工は未経験からでも目指せますか?
目指せます。材料の扱い、下地確認、施工手順を覚える必要がありますが、未経験から育成する会社もあります。求人では扱う工法と教育体制を必ず確認してください。
防水と塗装はどちらが合いやすいですか?
雨漏り対策や建物を守る機能に興味があるなら防水、色や仕上がりの見た目にも関心が強いなら塗装も候補になります。ウレタン防水は塗る作業が中心なので、塗装経験者が入りやすい工法です。
参考にした公的情報
仕事内容や資格制度は変更されることがあります。応募や受験を具体的に進める前に、公式サイトの最新情報も確認してください。
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まとめ
防水工は、屋上やベランダなどに防水層を作り、建物を水から守る仕事です。作業時間の多くは下地処理で、完成すると防水層は見えなくなります。目立つ派手さよりも確実さが評価される職種です。
年収は job tag で466.9万円ですが、これは左官・内装工・サッシ取付を含む分類全体の値であり、防水工単独の数字ではありません。
扱う工法によって仕事内容も体への負担も変わるため、求人を見るときは工法を必ず確認してください。